健診で肝機能異常を指摘されたらー放置しても大丈夫?
健診の結果で「肝機能異常」「肝機能障害の可能性あり」と指摘された方に向けて、肝臓の働き・なぜ数値が上がるのか・どう対応すればよいのかを、専門用語をできるだけかみくだいてご説明します。
1. 肝臓ってどんな働きをしているの?
肝臓は、体の中で非常にたくさんの役割を担っており、かつ「沈黙の臓器」と呼ばれることもあります。症状が出る前に問題が進んでしまうことも少なくないため、健診での数値異常を軽く見ないことが大切です。
主な働きは以下の通りです
- 栄養の処理・貯蔵:食べたものから得た糖質・脂質・タンパク質を肝臓で整理し、必要に応じて使えるようにする。
- 解毒・排出:お酒・薬・体内でできた老廃物など、身体にとって不要・有害なものを肝臓が処理し、体外へ出しやすくする。
- 胆汁の生成・消化支援:脂肪・タンパク質の消化吸収に必要な「胆汁(たんじゅう)」を作り、腸に流すことで消化と吸収を助ける。
このように、肝臓がしっかり働いていることは、健康を維持するうえでとても重要です。
2. 健診で「肝機能異常」、「肝機能障害」というのはどういうこと?
健診で「肝機能障害を疑う」、「肝機能異常」と書かれていたら、次のようなことを意味している可能性があります
- 血液検査で、肝臓の細胞や肝臓の働きに関わる酵素・成分(たとえば AST・ALT・γ‑GT など)が「基準から外れている」という結果が出ている。
- ただし、「数値が悪い=必ず重い病気」というわけではなく、まずは「肝臓に何らかの負担がかかっている可能性がある」サインと捉えることが大切です。
- また、肝臓は自覚症状が出にくいため、「特に何も感じていなかったのに健診で数値だけひっかかった」というケースが非常に多くあります。
ですので、健診で異常を指摘されたら「知らないふりをしないで、一度立ち止まって考える」ことが肝臓の健康維持において大切です。
3. なぜ肝機能の数値が高くなるの?主な原因
肝機能の数値が上昇する背景には、様々な原因があります。主に以下のようなものが考えられます。
- ウイルス性肝炎(たとえば B型肝炎、C型肝炎)
- アルコール性肝障害
飲酒習慣が長期的に続いた結果、肝臓に負担がかかっている。 - 代謝異常関連脂肪性肝疾患/代謝異常関連脂肪性肝炎(MASLD/MASH)
飲酒以外の原因(肥満、糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群など)で、肝臓に脂肪がたまり炎症や線維化へ進む可能性のある状態。 - 薬やサプリメント、漢方薬による薬物性肝障害
日常的に使っている薬などが肝臓に影響を与える場合があります。 - 胆汁の流れが悪くなる状況(たとえば胆石、胆管の障害など)によっても肝臓に負担がかかることがあります。
このように、「肝機能異常=必ず同じ原因」というわけではなく、原因ごとに対策も異なります。まずは原因を探すことが重要です。
4. まずはチェックしてほしいポイント
健診で肝機能異常を指摘されたら、まず次のような点を確認・実行しておくことが大切です。
- 飲酒の量・頻度を見直してみましょう。特に「毎日少しずつ」「週末にドカンと飲む」などの飲酒習慣がある場合、肝臓の負担になっていることがあります。
- 体重・腹囲・血糖・脂質・血圧など、生活習慣病につながる因子がないかをチェックしましょう。肥満・脂質異常・高血糖があると、脂肪肝のリスクが上がります。
- 薬・サプリメント・漢方薬を使用中なら、肝臓への影響がないか、主治医・薬剤師に相談してみましょう。
- 健診で肝機能異常の指摘を受けたら、放置せずに「いつか」「何となく」で済ませないで、早めにご相談ください。放置すると、脂肪肝やアルコール性肝障害が進行して肝炎・肝硬変・肝がんなどの重い病気につながることがあります。肝臓は症状が出にくいため、異常が出る前にぜひ受診を。
5. クリニックでの受診・検査の流れ(当院の場合)
当クリニックでは、肝機能異常の指摘を受けた方に対して次のような流れで対応しております
1. 健診結果をご持参のうえご来院ください。肝機能関連の数値(AST/ALT/γ-GTP など)を確認します。
2. 問診・生活習慣(飲酒・食事・運動・体重・持病など)を詳しくお聞きします。
3. 必要に応じて追加の血液検査(ウイルス肝炎検査、脂質・糖代謝・血小板数・線維化マーカーなど)または腹部エコー検査で肝臓の脂肪の程度・線維化の有無などを評価します。
4. 検査結果・原因を説明し、肝臓に対する負担を軽くするための生活習慣改善の提案や、投薬による治療を行います。
5. 必要であれば専門的な医療機関への紹介を提案します。
6. 経過観察:一度異常が出たから終わりではなく、改善が見られるか・進行していないかを定期的にチェックします。肝臓は「進行してからでは手遅れになりやすい」ため、早期対応が鍵です。
6. 最後に:早めに気づくことが最大のポイントです
健診で「肝機能」を指摘されたとき、慌てる必要はありませんが、「ちょっと様子をみる」だけで終わらせてしまうのはリスクがあります。肝臓は自覚症状が出る前にダメージが進むことが多いからです。
「何も感じていない」「特に飲んでいない」からと安心せず、数値が異常だったという結果を「肝臓からのサイン」と捉えて、一歩を踏み出していただければと思います。
当クリニックでは、肝臓に関して気になることがあればいつでもご相談いただけます。健診で異常を指摘された方、肝機能が気になっている方、どうぞお気軽にご相談ください。


