認知症の種類と違い
症状と自宅での対応をわかりやすく解説
こんにちは。千里ホームケアクリニックです。
認知症は「年のせい」や「物忘れが増える病気」と思われがちですが、実際には原因となる脳の病気がいくつかあり、それぞれ特徴が異なります。
この違いを知っておくことは、
- なぜその症状が出ているのか
- なぜその対応が必要なのか
を理解する助けになり、在宅生活を続けるうえで大きな支えになります。
ここでは代表的な4つの認知症について、医学的な背景 → 症状 → 自宅での対応の考え方の順でご説明します。
アルツハイマー型認知症
病気の仕組み(医学的な背景)
アルツハイマー型認知症では、脳の中にアミロイドβやタウ蛋白と呼ばれる異常なたんぱく質がたまり、神経細胞が少しずつ壊れていきます。
特に、記憶をつかさどる「海馬」という部位から障害が始まることが多いのが特徴です。
よく見られる症状
- 最近の出来事を覚えられない
- 同じ質問を何度もする
- 日付・曜日・場所がわからなくなる
- 進行すると、着替えや金銭管理が難しくなる
症状はゆっくりと連続的に進行します。
自宅での対応の考え方
- 記憶が保てないのは「努力不足」ではありません
- 責める・訂正するより、安心させること が重要です
- 視覚的な手がかり(時計・予定表・メモ)が助けになります
- 「覚えさせる」より「忘れても困らない環境」を整えることが大切です
「忘れても困らない環境」を整えるとは・・・
たとえば、予定は何度も説明するのではなくカレンダーやホワイトボードに書いて見える場所に貼る、服は迷わないように組み合わせを決めて一式で準備しておく、財布や鍵などの置き場所を固定して「探さなくても済む」ようにする、薬は飲むタイミングごとに仕分けして一目でわかる形にする、といった工夫が、本人の混乱や不安を減らし、生活を続けやすくします。
血管性認知症
病気の仕組み(医学的な背景)
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などによって脳の血流が障害されることで起こる認知症です。
小さな脳梗塞が何度も起こることで、脳のあちこちが少しずつダメージを受け、認知機能が低下します。
よく見られる症状
- 物忘れに加えて
- 歩きにくさ
- 手足の動かしにくさ
- ろれつが回りにくい
- 感情のコントロールが難しくなることもあります
- 症状は 段階的(良い時と悪い時を繰り返す) に進むことがあります
自宅での対応の考え方
- 転倒・事故の予防が最重要
- 体調が良い日でも「無理をさせすぎない」
- できる動作は続けてもらうことで、機能低下を防ぎます
- 急な変化(急に話せない、動けないなど)は早めの相談が必要です
レビー小体型認知症
病気の仕組み(医学的な背景)
レビー小体型認知症では、αシヌクレイン というたんぱく質が脳内にたまり、「レビー小体」を形成します。
この病気は、
- 認知機能
- 運動機能
- 自律神経
など 複数の神経系に影響 を及ぼします。
よく見られる症状
- 実際にはいない人や物が見える(幻視)
- 日によって、時間帯によって頭の働きが大きく変わる
- 動作が遅い、体がこわばる、転びやすい
- 便秘・立ちくらみ・睡眠障害なども起こりやすい
自宅での対応の考え方
- 幻視は「本人には現実」であることを理解する
- 否定せず、安心させる声かけを心がける
- 照明・影・物音など 環境要因を整える
- 調子の波が大きい病気であることを前提に生活を考えます
前頭側頭型認知症
病気の仕組み(医学的な背景)
前頭側頭型認知症では、前頭葉・側頭葉 と呼ばれる、感情・行動・社会性を司る脳の部位が障害されます。
そのため、記憶よりも 「人としてのふるまい」 に変化が出やすくなります。
よく見られる症状
- 怒りっぽくなる、無関心になる
- 衝動的な行動
- 同じ行動を繰り返す
- 社会的なルールを守れなくなる
- 初期は記憶障害が目立たないこともあります
自宅での対応の考え方
- 性格の変化は「病気による脳の変化」です
- 注意や説得より、環境調整と見守り が有効
- 危険な行動を事前に防ぐ工夫が重要です
- ご家族の心理的負担が非常に大きくなりやすいため、支援が不可欠です
すべての認知症に共通して大切なこと
- 認知症は「脳の病気」であり、本人の意思ではありません
- 否定・叱責は症状を悪化させることがあります
- 正解を求めすぎないことが、家族を守ることにもつながります
- 在宅生活では「安心・安全・無理をしない」が最優先です
まとめ
- 認知症には種類があり、原因・症状・対応の考え方が異なります
- 病気の仕組みを知ることで、行動の理由が理解しやすくなります
- 自宅での生活は、工夫と周囲の理解で続けやすくなります
千里ホームケアクリニックでは、ご自宅での生活を続けたいという思いを、医学的な視点から支える訪問診療を行っています。「この対応で合っているのか不安」「最近変化が大きい」など、気になることがあればいつでもご相談ください。


