高齢者の便秘をどう考える?
在宅療養で知っておきたいポイント
こんにちは。訪問診療を中心に行っております千里ホームケアクリニックです。
在宅療養中の方からよくいただくご相談のひとつが「便秘」です。
- 「何日も出ていない」
- 「お腹が苦しそう」
- 「下剤を使っていいのかわからない」
便秘は命に関わることは少ないものの、体調や生活の質を大きく下げてしまう症状です。
今回は、在宅でよくみられる便秘について、原因や対処法をわかりやすくお伝えします。
便秘とはどのような状態?
一般的には、
- 数日以上排便がない
- 便が硬く、出すのがつらい
- 排便後もすっきりしない
といった状態を便秘と呼びます。
ただし、「毎日出ない=便秘」とは限らず、苦痛があるかどうかが重要です。
在宅療養中に便秘が起こりやすい理由
活動量の低下
体を動かす量が減ると、腸の動きも弱くなります。
食事量・水分量の低下
食欲低下や脱水は、便を硬くし、便秘の原因になります。
薬の影響
- 痛み止め(特にオピオイド)
- 抗コリン作用のある薬
- 抗うつ薬、パーキンソン病治療薬
などは便秘を起こしやすいことが知られています。
トイレ環境・我慢
- トイレまで行くのが大変
- 介助が必要で遠慮してしまう
といった理由で便意を我慢してしまうこともあります。
便秘の裏に隠れていることがある病気
多くの便秘は上記のような理由で起こりますが、中には治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
大腸がん・腸閉塞
- これまで便通が安定していた方が、急に便秘がちになった
- 便が細くなった
- 腹痛や腹部の張りが強い
このような場合は注意が必要です。
内分泌・代謝の病気
- 甲状腺機能低下症
- 高カルシウム血症
などが便秘の原因になることがあります。
神経の病気
- パーキンソン病
- 脳血管障害
などでは、腸の動きそのものが低下することがあります。
※これらは「必ず調べるべき」という意味ではありませんが、変化の仕方や症状によっては考慮すべき病気です。
便通異常症診療ガイドラインでは、便秘症における「警告症状・兆候」として
- 排便習慣の急激な変化
- 血便
- 6ヶ月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少
- 発熱
- 関節痛
- 異常な身体所見(腹部腫瘤の触知、腹部の波動、直腸診による腫瘤の触知、血液の付着など)
があげられており、これらの症状や兆候がある場合は何かしらの病気が便秘の原因となっている可能性が考えられます。
ご高齢の方では「どこまで調べるか」を一緒に考えます
在宅療養中のご高齢の方では、
- 検査そのものの負担
- 移動の大変さ
- 病状や生活の状況
を考慮しながら、「どこまで検査・治療を行うか」を個別に判断することが大切です。
すべての便秘に精密検査が必要なわけではありません。一方で、「今までと違う便秘」は、一度医療的な視点で評価することが望ましい場合もあります。
ご家庭でできる便秘への対応
水分をこまめに
一度にたくさんでなく、少量ずつこまめに摂取しましょう。
無理のない範囲で体を動かす
- ベッド上での足の曲げ伸ばし
- 椅子に座ったままの体操
少しの動きでも腸の刺激になります。
排便のリズムを整える
毎日同じ時間帯にトイレに座る習慣をつけることが助けになります。
便秘薬を我慢しすぎない
便秘薬は、適切に使うことで苦痛を減らす治療の一つです。自己判断で増減せず、相談しながら調整することが大切です。
こんなときは医療者に相談を
- 3日以上排便がなく、苦しそう
- 腹部の張りや痛みが強い
- 吐き気や嘔吐がある
- 便秘と同時に元気がなくなった
- 今までと明らかに様子が違う
これらは、早めの対応が必要なサインです。
まとめ
- 便秘は在宅療養中によくある症状
- 多くは生活や薬の影響だが、病気が隠れていることもある
- 高齢の方では、負担を考えながら検査・治療の範囲を決める
- 我慢せず、早めに相談することが大切
千里ホームケアクリニックでは、便秘を「よくあること」として放置せず、その方に合った対応を一緒に考える訪問診療を行っています。「この便秘、様子を見ていいのかな?」そう感じた時点で、どうぞお気軽にご相談ください。


